今回は岡安が担当させていただきます。前回ブログ記事を担当させていただいた際に、私自身も悩まされている頭痛のお話をさせていただきました。(前回記事 頭痛に効く!理学療法と運動のチカラとは?)
今回は前回の続編になるような内容です。今回も少々長いですがお付き合いください
「最近、頭痛が増えた」「疲れやすくて集中できない」「肩こりやめまいもある」そんな症状が続くと、多くの人は“ストレス”や“姿勢”を疑います。前回は姿勢などの切り口から頭痛を解説しました。
しかし近年、「鉄不足(特にフェリチン低値)」が片頭痛や慢性頭痛と関係しているという研究が増えています。
今回はわかりやすく 鉄・フェリチンと頭痛の関係 を解説していきたいと思います!
1.フェリチンとは?なぜ頭痛と関係するのか
フェリチンとは、体内の鉄を貯蔵するタンパク質です。
血液検査で測定される「フェリチン値」は、体の“鉄の貯金”を示します。
- ヘモグロビン:血液中で酸素を運ぶ鉄
- フェリチン:体内に蓄えておく鉄(貯蔵鉄)
つまり、フェリチンが低い=体の鉄が不足している状態です。
▼ 鉄不足が頭痛を引き起こす理由
研究では、以下のメカニズムが指摘されています。
① セロトニン合成に鉄が必要
鉄は、トリプトファン → セロトニン の合成に不可欠です。
セロトニンは片頭痛の発生に深く関わる神経伝達物質で、鉄不足によりセロトニンが低下すると、片頭痛の感受性が高まると考えられています。
② 脳の酸素供給が低下する
鉄不足 → ヘモグロビン低下 → 酸素運搬能力の低下
これは頭痛の誘因になり得ます。
③ 三叉神経–血管系の過敏化
鉄不足は炎症性サイトカインを増やし、CGRP(片頭痛に関わる物質)の過敏化につながる可能性が示されています。
2.研究でわかっている「鉄不足と片頭痛」の関係
① 女性の片頭痛患者はフェリチンが低い(2019, Journal of Pain Research)
女性の片頭痛患者では、フェリチン値が対照群より有意に低いことが報告されています。
特に月経関連片頭痛で顕著でした。
参考文献:Alghamdi, J. et al. (2019). Serum ferritin levels in migraine patients. Journal of Pain Research.
② 鉄欠乏性貧血の女性は片頭痛リスクが高い(2016, Headache)
大規模データベース研究では、鉄欠乏性貧血の女性は片頭痛の発症リスクが高いと報告されています。オッズ比は約1.2〜1.3。
参考文献:Wang, Y. et al. (2016). Iron-deficiency anemia and migraine risk. Headache.
③ 鉄補充で頭痛が改善した症例報告(複数)
鉄欠乏性貧血の女性で、鉄補充後に片頭痛の頻度が減少した という症例報告が複数あります。因果関係は断定できませんが、改善例は確かに存在します。
④ 小児片頭痛でもフェリチン低値が関連(2014, Pediatric Neurology)
小児片頭痛患者のフェリチンが低い傾向があり、鉄補充で頭痛日数が減少したという報告があります。
参考文献:Kacperski, J. et al. (2014). Iron deficiency and pediatric migraine. Pediatric Neurology.
3.どんな人が鉄不足になりやすい?
以下の人は鉄不足のリスクが高いとされています。
- 月経のある女性
- 妊娠・授乳期
- ダイエット中の人
- 肉・魚をあまり食べない
- 胃腸が弱く吸収が悪い
- 持久系スポーツをしている
- 慢性的な疲労がある
特に女性は、月経による鉄損失が大きく、フェリチンが10〜20 ng/mL台の人は珍しくありません。(正常範囲 成人女性:10〜120 ng/mL、成人男性:30〜300 ng/mL ※施設によって多少異なります。)
4.鉄を多く含む食品(一般向け)
鉄には2種類あります。
① ヘム鉄(吸収率が高い)
主に動物性食品に含まれます。
- レバー
- 赤身肉
- かつお・まぐろ
- あさり
- いわし
吸収率は10〜20%と高め。
② 非ヘム鉄(吸収率が低い)
植物性食品に含まれます。
- ほうれん草
- 小松菜
- 大豆製品
- ひじき
- 玄米
吸収率は2〜5%と低く、
ビタミンCと一緒に摂ると吸収が上がります。
5.鉄不足が疑われるサイン
以下の症状が複数ある場合、鉄不足の可能性があります。
- 頭痛が増えた
- 疲れやすい
- めまい・立ちくらみ
- 集中力低下
- 爪が割れやすい
- 髪が抜けやすい
- 動悸・息切れ
- 冷え性
ただし、症状だけで判断することはできません。
気になる場合は医療機関で血液検査(フェリチン)を受けることが大切です。
6.片頭痛の人が知っておきたい「鉄と生活習慣」
栄養だけでなく“姿勢・呼吸”も重要
鉄不足は片頭痛の一因ですが、姿勢不良や首肩の筋緊張、ストレス、自律神経の乱れも関係します。
PNF(固有受容性神経筋促通法)は、
- 姿勢
- 呼吸
- 首肩の筋緊張
- 自律神経の安定
にアプローチできるため、
栄養+身体アプローチの組み合わせが最も効果的と考えられます。
7.まとめ|鉄不足は片頭痛の“見落とされがちな要因”
- フェリチン(貯蔵鉄)が低いと片頭痛が起こりやすくなる
- 女性では特に関連が強い
- 鉄不足はセロトニン・酸素供給・CGRPなどに影響
- 食事からの鉄摂取は重要
- 姿勢・呼吸・自律神経のケアも同時に必要
片頭痛は「栄養」「姿勢」「生活習慣」が複雑に絡む症状です。
鉄不足が気になる方は、まず医療機関での検査をおすすめします。

Google Geminiにて作成
参考文献
- Alghamdi, J. et al. Serum ferritin levels in migraine patients. Journal of Pain Research, 2019.
- Wang, Y. et al. Iron-deficiency anemia and migraine risk. Headache, 2016.
- Kacperski, J. et al. Iron deficiency and pediatric migraine. Pediatric Neurology, 2014.
- 日本頭痛学会「片頭痛診療ガイドライン」
- 厚生労働省「国民健康・栄養調査」
